朝井リョウ原作映画「何者」佐藤健主演 感想 ネタバレなし
「何者」
監督 三浦大輔
主演 佐藤 健 有村架純 二階堂ふみ 菅田将暉 岡田将生 山田孝之
現代の若者たちが就活に取り組む中での奮闘を描いた作品。
予告からしてこれは観に行かねばならないと大きく期待していったこの映画。
84点
今を生きる若者が潜在的に抱える大きな不安
自分がこの社会の中で「何者」して生きていくべきなのかを考えさせられる。
私にとって非常に刺さる映画でした。
少なくとも主題歌の
をiTunesで買ってしまうぐらいに好き。
なのですが、この映画
特定の世代。つまりSNS登場以降の社会で若者としていき、就活を体験したもしくは今就活中の人達のことを理解できる人にしかわからない映画かもしれません。
と言うのもSNS。特にtwitterを使った人間関係の中で生きることのめんどくささ、他者への嫉妬、蔑みを理解してない人にはこの映画で描かれる彼らの言動がわからない部分が多いと思うからです。
今の時代の若者が社会でどうやって生きていけばよいのかのわからなさ。
を理解できないと、この映画はただの主役級人気若手俳優がたくさんでているだけ
の映画になってしまうかもしれない。
原作が朝井リョウなだけあって、「桐島、部活やめるってよ」とも通じるテーマであるように思いました。特に主人公たくとの演劇部で一緒に脚本を考えていたギンジが最後まで出てこないところなど桐島と似ているところもあります。(監督違うけど)また集団の中で友達として一緒にいるなかでもわからないお互いの腹の底の部分の描き方もにていますね。
私は主人公である佐藤健君演じるたくと君に感情移入してしまいました。いつでも冷静で分析力に長けているけども、結局人の批評しかできず、何もしない自分と重なってしまいました。
最近起きた東大卒の電通社員の過労死のことなども考えると一概にいい企業に就職して真面目に働けば、誰よりもいい人生を送れるなんてこともないと考えてしまうと、今を生きる若者たちにはいったい何をして生きていけばいいのかという問題が重くのしかかり、この時代の生きづらさを強く感じる。そんな中で生きていく道を見つけることができたと思われる主人公のラストの迷いなく突き進む背中は私に勇気を与えてくれた。
人の詮索、分析、批評ばかりして何もせず行動することを恐れながら生きていくわけにはいかない。周りの意見や評価など気にせず、自分があるべき生き方をしていく決断をするための、背中を押してくれるそんな映画でした。
お客は平日の14時の回で20人もいなかったと思います。思いのほか若い観客も少なかった…
万人受けしないかもしれないが是非とも平成を生きる若者と分かち合いたい。
今週土曜日2016/10/22 のタマフルの映画評論コーナーでもこの「何者」が扱われるので、楽しみにしている。